シンポジウムレポート
1/fゆらぎを応用した高電位治療のこれから
新しい有効性を求めて
治療法の確立されていない難しい病気にも
京都府立医科大学大学院医学研究科・消化器内科学准教授の内藤裕二先生は、高電位治療器を慢性関節リウマチの患者さんに役立てられないかと研究されています。研究を始めた経緯を伺うと、リウマチ患者さんが、サプリメントや家庭用の医療機器などの、相補・代替医療を高頻度で利用していることをまず挙げます。「リウマチ治療は、治療者側としても患者さんも満足いかないことが多いものです。近年、非常によく効く薬が開発されました。しかし残念ながら高額であるため、誰もが使えるわけではありません。そして、誰にでも効果があるわけでもありません。そんな中、多くの患者さんが代替医療に頼って、少しでも症状を和らげようとなさいます。医師は、サプリメントや医療機器にも詳しくなって、その患者さんにぴったりの処方をしていかないといけません」。
「以前から、医療機器メーカーの方などから、よく効くんですよと紹介されていたものの、半信半疑だったんですよ」と話す内藤先生。高電位治療について、一度研究してみた方がいいのではないかと思ったのは、動物実験で明らかに効果があることがわかったからだそうです。「動物実験を行って効果がなければ、これでお引き取りいただけると思ったんですよ。でもこれが効果があったんです」と笑いながら内藤先生は振り返り、「正確には、発症を遅らせることができたということです。関節炎になるように操作をしたネズミのうち、高電位治療をほどこしたネズミは、そうでないネズミと比べて炎症を起こすのが遅くなりました。小さな作用ではあるかもしれませんが、期待できると考えたのです」と説明してくださいました。
「以前から、医療機器メーカーの方などから、よく効くんですよと紹介されていたものの、半信半疑だったんですよ」と話す内藤先生。高電位治療について、一度研究してみた方がいいのではないかと思ったのは、動物実験で明らかに効果があることがわかったからだそうです。「動物実験を行って効果がなければ、これでお引き取りいただけると思ったんですよ。でもこれが効果があったんです」と笑いながら内藤先生は振り返り、「正確には、発症を遅らせることができたということです。関節炎になるように操作をしたネズミのうち、高電位治療をほどこしたネズミは、そうでないネズミと比べて炎症を起こすのが遅くなりました。小さな作用ではあるかもしれませんが、期待できると考えたのです」と説明してくださいました。
臨床試験は最も信頼性の高い手法で
そこで、内藤先生は、実際の患者さんでどのような効果が出るのか、本格的に臨床試験を開始しました。その試験方法は、新薬開発でも用いられる二重盲検比較試験。新薬開発では、実際にその新薬を飲む患者さんのグループと、薬の成分がまったく入っていない偽薬を飲む患者さんのグループで、本当の薬を飲んだ患者さんグループに顕著に効き目が出るかどうか、試験をします。「プラセボ効果」といって、実際には薬を飲まなくても「薬を飲んだ」と思うだけで調子がよくなることがあるのです。患者さんが飲むのが本物の薬なのか、偽薬なのかは、患者さんはもちろん、医師も知りません。観察する医師もバイアスがかからないようにするためです。内藤先生の研究でも、高電位治療器のイスに座っていても、実際には電位がかかっていない患者さんグループと、本当に高電位治療を受ける患者さんグループに分け、高電位治療の本当に実力をしっかり見ることにしました。「二重盲検比較試験は、私たち臨床医学の世界でも最も科学的方法として重要視されているものです。せっかく臨床試験をするのですから、信頼性の高い試験にしなければいけません」と内藤先生。
さらに、試験の最終目標も、関節リウマチの症状の強さを客観的に評価する「DAS(疾患活動性スコア)」を基準にする、難易度の高い臨床試験となりました。
さて、その結果は?
最終目標とした「DAS-28CRP」は、治療の前後で確実に低下しました。しかし残念なことに、実際には電位がかかっていないグループの人でも低下したため、高電位治療が慢性リウマチの症状を緩和したという結論は出せなかったそうです。
しかし、注目すべき点も大いにあります。患者さんの痛みの自覚症状を「VAS」という指標で調べたところ、時間を追うごとにVASスコアは低下していき、偽物の機械で治療を受けたグループと比較してもはっきりと差が出たのです。「高電位治療器は、明らかに痛みの症状に対して有効だというデータが得られたのです」と、内藤先生は力強く断言します。
さらに、試験の最終目標も、関節リウマチの症状の強さを客観的に評価する「DAS(疾患活動性スコア)」を基準にする、難易度の高い臨床試験となりました。
さて、その結果は?
最終目標とした「DAS-28CRP」は、治療の前後で確実に低下しました。しかし残念なことに、実際には電位がかかっていないグループの人でも低下したため、高電位治療が慢性リウマチの症状を緩和したという結論は出せなかったそうです。
しかし、注目すべき点も大いにあります。患者さんの痛みの自覚症状を「VAS」という指標で調べたところ、時間を追うごとにVASスコアは低下していき、偽物の機械で治療を受けたグループと比較してもはっきりと差が出たのです。「高電位治療器は、明らかに痛みの症状に対して有効だというデータが得られたのです」と、内藤先生は力強く断言します。
電位治療は継続が必要
内藤先生の臨床試験では、12週間経過後、4週間は高電位治療を行わずに、どのような変化が出るのか観察を継続しました。治療をとりやめると、下がっていた痛みのスコアは上昇。つまり、高電位治療で痛みの自覚症状が弱くなったとしても、治療をやめてしまうと症状は戻ってしまうということ。電位治療は、継続してこそ効果を発揮するのです。
内藤先生による慢性関節リウマチの高電位治療臨床試験
※使用機器「レガシスプラス」
- 二重盲検比較試験・参加者は30歳〜70歳までの30名
- 試験中は患者さんの薬の種類や量を変更しない
- 試験の最終目標は「DAS(疾患活動性スコア)」
- 試験期間は16週間、治療期間は12週間、最後の4週間は電位治療をやめて、その変化を観察
患者さんのQOL(生活の質)の向上に貢献する電位治療
関節に症状の出る「変形性膝関節症」の患者さんの、痛みや炎症、手足の機能に対し、高電位治療がどのような効果をもたらすか研究されているのが、東京・杉並区にある「おぎくぼ痛みのクリニック」院長の福田憲昭先生です。変形性膝関節症は、ひざ関節の軟骨がすり減って炎症を起こし、痛みが出たり曲げ伸ばしに支障が出たりする病気。通常は、ヒアルロン酸ナトリウムを注射して軟骨を保護したり、鎮痛剤で痛みを緩和するなどして治療を行います。
福田先生の研究でも、患者さんの自覚症状を示す「VAS」が、期間中少しずつ低下していき、高電位治療により自覚症状が軽くなるという結果が出ました。福田先生は試験結果をまとめ「生化学的な検査では、試験前と試験後での変化は認められなかったのですが、患者さんの訴える関節の痛みには改善が見られました。安全性にも問題はなく、高電位治療が変形性膝関節症の患者さんのQOL(生活の質)の向上に大きく関係すると考えられますね」と話します。
QOLについて、前出の内藤先生は、リウマチの患者さんを対象に、リウマチのどのような症状が患者さんの生活に影響するか研究した論文に言及し、「その論文では、痛みが最も影響するという結論が出ました。ですから、痛みを訴える患者さんの痛みを和らげることは、方法が何であれ、医療の現場では非常に重要なのです」と、痛みの軽減がQOLを上げることを説明します。そして、「たとえ詳しいメカニズムがわからないとしても、医師は、関節痛を訴える患者さんに、神経ブロックや鎮痛剤や電位治療など、様々な方法を駆使して症状をとってあげることが大事なのです」。
先生方の研究により、今後、高電位治療は、様々な症状に活用され、より多くの患者さんの生活の質を上げるのに貢献していくでしょう。
QOL:Quality Of Life(生活の質)
福田先生の研究でも、患者さんの自覚症状を示す「VAS」が、期間中少しずつ低下していき、高電位治療により自覚症状が軽くなるという結果が出ました。福田先生は試験結果をまとめ「生化学的な検査では、試験前と試験後での変化は認められなかったのですが、患者さんの訴える関節の痛みには改善が見られました。安全性にも問題はなく、高電位治療が変形性膝関節症の患者さんのQOL(生活の質)の向上に大きく関係すると考えられますね」と話します。
QOLについて、前出の内藤先生は、リウマチの患者さんを対象に、リウマチのどのような症状が患者さんの生活に影響するか研究した論文に言及し、「その論文では、痛みが最も影響するという結論が出ました。ですから、痛みを訴える患者さんの痛みを和らげることは、方法が何であれ、医療の現場では非常に重要なのです」と、痛みの軽減がQOLを上げることを説明します。そして、「たとえ詳しいメカニズムがわからないとしても、医師は、関節痛を訴える患者さんに、神経ブロックや鎮痛剤や電位治療など、様々な方法を駆使して症状をとってあげることが大事なのです」。
先生方の研究により、今後、高電位治療は、様々な症状に活用され、より多くの患者さんの生活の質を上げるのに貢献していくでしょう。
QOL:Quality Of Life(生活の質)
関節リウマチとは
「関節リウマチ」は、全身の関節に、こわばりや腫れ、痛みの出る病気で、進行すると関節が破壊されてしまいます。男性よりも女性に多く、30代〜50代が発症のピークです。原因ははっきりとはわかっていませんが、免疫システムに何らかの狂いが生じて起こると考えられています。完治することが難しい病気のため、症状をコントロールし、患者さんの生活の質を上げることが重視されています。
福田先生による変形性膝関節症の高電位治療臨床試験
- 参加者は30歳〜80歳の11名・使用機器はレガシスプラス(電位治療機能のみを使用)
- 1日1回20分間を2週間、その後、3週から12週までは、1日1回60分・電位レベルは「1/f ゆらぎ強」
- 試験期間中は、関節注射はしない
- 内服薬、外用薬、座薬は使用するが、薬の種類や容量は変えない